
落ち着いた空間でおいしい料理を堪能したり、いい映画を観て感動したり、時には緑いっぱいの公園に足を運んで写真を撮ったり、絵を描いたり・・・出会いや新たな発見を楽しむことが好きだ。そこから得たものや感じたことを仕事に活かしたい。欲を言えば趣味と仕事に一貫した流れが生まれるのが理想だと考えている。
私は大学で建築学を学びながら、建築デザインはせっかく人々に居心地のいい空間を届けていても、設計側のメッセージは一般の人には伝わってこないと感じていました。その思いの中で就職先には建物に入った時の感動や心地よさを身近に感じられるような、人に身近な空間のデザインに携われる会社と思い、ディスプレイ業界を考えました。丹青社に決めたのは自分の意見を聞いてくれて、フランクに言い合える社風を感じたから。この会社なら、自分の力を伸び伸びと発揮できると思い、入社を決めました。
入社後4月下旬までは集合研修で、その後7月いっぱいまではCAD(コンピューターを使用した設計図面作成ソフト)研修や什器製作研修がありました。CADは仕事になくてはならないので、私は同期の誰よりも技術を磨こうと、家に帰ってからも必死で勉強しました。什器製作研修では電話台を製作し、同じチームの3人のリーダーを務めました。制作職として現場を動かしたとき、周囲から何を求められているかを考え、与えられた役割をどのようにこなすかを各々が判断すること、そしてその日の作業が終了次第、すみやかに帰るというのが私たちチームの基本スタンスでした。当初は各々が自立心を意識しすぎたことで、協調性のやや欠けたチームだったと思います。しかし、実際に什器の製作をお願いした会社との金額交渉で誰もが行き詰まりを覚えた時、これを打開しようというところから、チームとしてのまとまりが生まれました。お互いの基本マナーなどを再確認し、相手の立場に立った交渉を心がけようという気持ちや取り組みの姿勢は、今の現場でも活かされています。
制作の仕事は段取り8割。現場は学ぶことが多いから楽しい。
8月からは現場研修として、秋口にオープンしたスポーツクラブの施工管理を担当しました。そのスポーツクラブは約850坪のスペースにジムやスパ、キッズの遊び場が設置されます。初めて現場に入った時は、工事の途中段階でしたので、それまでに見たことも触れたこともない材料が並び、自分が何を手伝えばいいのかと戸惑うことばかりでした。先輩社員のそばで日々の仕事ぶりを見て、職人さんにも教えてもらいながら、一つ一つノウハウを盗むようにして夢中で仕事を覚えました。ところが9月に入ると、施設のオープン日も近くなって現場も慌ただしくなり、もはや研修中であることや、新入社員であることを言い訳にできる状況ではなくなりました。それをきっかけに、私自身が現場を管理する制作職であり、丹青社の一社員であるとの責任感を持って仕事に取り組むようになりました。
そうこうしているうちに、上司からほめられることも出てきました。まだまだ数は少なかったものの、現場の経験から得たことや知識を活かすことを心がけ、積極的に行動するようになったことを上司が見ていてくれたのだと思います。
業界内でよく言われる言葉の一つに「現場は生き物」という言葉があります。紙の上に描かれたデザインや図面は、現場で命を吹き込まれ、いろんな人の思いが込められながらカタチになっていきます。だからこそ、その空間に訪れた人々みんなが感動する素晴らしい空間ができるのかもしれません。現場に入ってみて、お客様やデザイナー、職人さんなどの様々な思いに触れることで、そのことを身を持って実感しました。
また、「制作の仕事は段取りが8割」ということもよく言われます。現場着工前から様々な段取りを組みますが、職人さんがどうしたら仕事をやり易いか把握し、材料の配置や搬入の場所をやりくりしたり、安全や健康に気を配って、常にベストな状態で仕事をしてもらえるよう工事スケジュールを組み立てる。それも段取りだと思います。
この制作という仕事は大変だと、入社前から先輩社員の皆さんに聞いていましたが、私に順応性があったためか、思ったほどにキツいとは思いませんでした。むしろ学ぶことが多いので楽しんでいます。今後のテーマとして、自分は何をすべきなのか、周りは私に何を伝えようとしているのかを常に意識しつつ、現場のクオリティを高く保てるように、腕と心を磨きながら取り組んでいきたいと思います。
