9月からの制作基礎研修も2ヵ月が経過し、「ものづくり」の基本が分かり始めたある日、新入社員たちに新たな課題が出されました。それは「レジャー&サービス産業展2007」に出展する丹青社のブースづくりを担当し、商談のチャンスを掴むこと。自分たちでゼロから企画を考え、デザインや図面を描き、施工し、さらに産業展の場で営業アプローチまでを行う、という研修の仕上げとも言えるものでした。会社を代表してお客様に丹青社を紹介するという実践体験であり、まさにプレデビューです。
什器製作の課題が最終段階の工場検収というヤマ場に差し掛かる中で、新入社員たちは4~5人の新しいチームをつくり、ブースの企画案を競う社内コンペに臨みました。この番外編では、その社内コンペの様子から実際に産業展を運営するまでをレポートします。
レジャー&サービス産業展2007(12/4~5開催・東京ビッグサイト)
アミューズメントや商業施設など様々なレジャー・サービス関連企業が出展し、不動産・商業デベロッパー、施設オーナー、金融機関など毎年1万人規模の来場者数を誇る一大イベント
社内コンペのプレゼンテーションまで10日間。什器の検収のための出張で時間を取られ、デザインや営業に関する講義にペンを走らせる傍らで、産業展ブースの企画づくりが始まりました。どんな空間で、何をアピールするのか。限られた時間と予算の下で、どうすれば人を惹き付けられるのか。ブースに使う材料や照明機器などの種類や費用さえも分からない手探り状態からの出発で、先輩に知恵を借りたり、メーカーに直接問い合わせたりと、一から勉強しながら、各チームとも何とかプランをまとめ上げました。
持ち時間15分のプレゼンテーション。営業部長などの審査員を前にして少し緊張したものの、デザイナーが中心となって練り上げたチームのブースプランを、用意した企画書とパワーポイントの画像を見せながら発表しました。
当初与えられた出展テーマは、丹青社の「最新の事業活動のPR」と、「感動創造提供企業のイメージを浸透させる」こと。各チームのコンセプトやデザインは、その与件をしっかりと捉えているか、また予算や工期の面からの実現の可能性はあるのか、訪れたお客様にどう接して何を伝えるのか、といった点が採用のポイントになりました。
社内審査の結果、「交流」をテーマにした駒橋チームのプランが僅差で採用に。そこからは新入社員全員が役割分担し、ブースづくりの準備に取り掛かりました。慣れないながらも、ブースの素材選びから施工図面の作成、パネルのグラフィックデザインの具体化、そして施工をお願いする協力会社への見積もり依頼と、やるべきことは盛りだくさんです。
使う素材や設置物に関する情報収集、価格折衝やコストコントロールと発注、そして機材搬入からの施工スケジュールの確認、展示会当日の人員配置と運営方法の具体化など、先輩社員や協力会社の皆さんに助けられながらも、着工準備と運営プランづくりは着々と進みました。
いよいよ現場での施工がスタート。「コントラ」というランダムな網目素材をアルミフレームに張り、テーマとした「交流」への想いを表現。その意図に違わず、営業やデザイナー、そして協力会社の職人さんたちの様々な思いが交錯して、ひとつの空間が出来上がって行きます。入社1ヵ月後に経験した現場実習の時とは一味違う責任感を持ち、「ものづくり」へ厳しい視線も身につけた新入社員たちの本領発揮です。
しかし、施工の終盤になってトラブル発生。なんと床材のカラーが間違っていたことが発覚しました。間に合わないかと心配したものの、わずか数時間のうちに貼り替え作業が完了し、プロの対応の早さに改めて感服です。そして、いよいよブースが完成し照明のスイッチが入った瞬間には、新入社員はもちろん、協力会社の職人さんたちからも大きな歓声が上がりました。
期待と不安が交錯するなかで迎えた産業展の当日。若々しい印象のなかにもインパクトの強さが際立った丹青社のブースには、たくさんの来場者が注目しているようです。新入社員たちは最初こそ戸惑いましたが、先輩社員のアドバイスも受けながら、直ぐに来場者ひとり一人に積極的に話しかけるようになり、丹青社の事業内容をアピールすることができました。
来場者の中には、会場内を探し回って丹青社のブースを見つけたという方もいらっしゃり、感激する一方で、混雑する会場では遠くからでも目立つような工夫が必要だったと、反省も忘れません。
用意した会社パンフレットは、2日分の予定部数が1日で底をつき、翌日はさらに追加。名刺受けも溢れるほどの来場者数に、展示会の持つ影響力の大きさを実感した2日間でした。
お客様と直接対話することの楽しさと難しさを味わうとともに、着工準備からブースの運営までの間をとおして、社員同士あるいは協力会社さんとの連携の大切さを知りました。この間の様々な出会いと拡がったネットワーク、そして頂戴した沢山の名刺は、これから仕事に挑戦していく上での大きな財産にしなければと、誰もが決意を新たにしました。
またたく間に撤去されていくブース。2日間の会期をようやく終えたという安堵感に満たされつつも、一抹の寂しさも広がっていきます。前回の什器製作の課題では予算も時間もオーバーしましたが、今回の課題では、これを乗り越えたという充実感もあります。そして営業の大変さも、少しだけ分かった気がしますが、改めて「知らないこと」に気づき、根拠のない自信や自惚れは通用しない厳しさも学んだ課題だったといえます。
自分たちで考え、準備し、施工して運営したという貴重な実践経験は、新入社員たちのこれからの仕事に活かされていく筈です。

今回の展示会は、先輩社員や協力会社の皆さんなど、周囲の方々に守られているなかで面白い部分だけをさせて貰ったと感じています。しかし小さなバージョンながらも、デザインから現場までの一部始終を見ることができ、とても感動しています。貴重な経験を謙虚に、かつ積極的に活かして今後につなげていこうと思います。

個人的には反省点だらけです。最初はチームの4人だけでできると思っていたのに、実際は周囲のフォローがなければ成功できなかったですね助けていただいた協力会社の職人さんたち、準備や来場者への対応をしてくれた同期のメンバーには、感謝の気持ちでいっぱいです。

限られた時間や条件のなかで成果を出すことができたのは、チームワークがうまくかみ合ったからだと思います。現場がとても大きな経験をもたらしてくれるということ、そして自らはまだまだ実力不足だということも実感しました。もっとプロ意識を持って仕事に取り組んでいかなければと、思いを新たにしています。

自由にやることの大切さ、表現することの楽しさと難しさを同時に味わいました。グラフィックの製作中に上司や先輩からいただいた「もっと遊べ」のアドバイスには、デザインの奥深さも感じました。これからもっと経験を重ね様々な知識を吸収することで、手際よく適確に仕事ができるようになりたいと思います。

研修担当者からひと言
新入社員たちに仕事の幅広さを体感してもらい、また若いセンスで丹青社をPRするのが目的でした。ひと味違った目を引くブースは、社内外から高く評価され、新たな出会いの場となりました。今回の経験を糧に、さらに成長し、活躍していってほしいですね。
