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想いをカタチに -空間づくりのスペシャリスト-

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国立ハンセン病資料館

正しい知識の普及と理解促進を目指して。

国立ハンセン病資料館(東京・東村山市)のリニューアルは、既存の資料館や全国15ヵ所・海外4ヵ所にあるハンセン病療養所を調査し、入所者および関係機関の方々を訪ねることから始まりました。徹底した情報収集によって課題を探り出し、新施設の理念や展示方針・テーマなどを検討。立場の異なる方々の合意のもと、ハンセン病に対する正しい知識の普及に努めるなどの理念を盛り込んだ基本計画を策定しました。そもそも、その歴史や療養所での暮らしぶりについて、生の声が集約されたのは初めての試みで、私たちにとっても意義深い案件となっています。
国立ハンセン病資料館 館内
国立ハンセン病資料館 館内

自らの問題として考えるための3空間構成。

既存施設に増築された新資料館は、ハンセン病回復者の思いや長年の活動をもとにした3つの空間で構成しました。社会の精神的・物理的な壁を象徴的に配した「歴史・総覧」の導入展示、利便施設の揃った“街”の実態を浮き彫りにした「隔離された生活」、芸術活動や人権闘争で自らを表現しながら「生き抜いた証」を証言映像で展示。来館者一人ひとりが偏見・差別を自分自身の問題としてとらえ、考えることができる場を提供することを目指しました。

担当者の想い

ゼネラルディレクター 和田 明彦

ミュージアムの存在意義を問い直す仕事となった。

様々な立場の人々の思いをバランス良くまとめ、多くの人々に伝えることに注力した案件でした。療養所に暮らす入所者の方々と話していくうちに、療養所という空間に最初に感じた違和感こそが自分の中の理解不足や壁だと分かり、あらためて誠意を持って取り組まねばならない重要なテーマであると実感しました。デザイン的な挑戦が難しかったのは事実ですが、ミュージアムという空間としてまとめること自体が有意義な経験でした。その意味で、2007年度グッドデザイン賞(新領域デザイン部門)を受賞するなど、各方面から評価をいただき、注目されていることはうれしいですね。私のクリエイティブ人生にとっても、ポイントとなる仕事の一つです。
プランニングディレクター 齋藤 聡子

心がけたのは、生の声が聞こえる施設になること。

一言でいうと、この仕事は自分自身の人生観が問われる厳しい仕事だったと思います。企画の方向性が見出せなかったある日、調査の帰りにバスで同席した入所者の方からご主人との温かい思い出話をうかがいました。このとき、この方たちもかけがえのない人生を持つ同じ人間であり、これを伝えることこそが展示に求められるものだと気づきました。調査・基本計画に約1年半、設計に1年、工事に2年をかけたこの案件は、この間、他の仕事ができないほど大変な仕事でしたが、その後の私の仕事を考える上で大きな経験となっています。
デザイナー職 綿引 典子

言葉で表現しきれない大きなものを得た。

何を見てもらい、どんなことを感じてもらえればいいのか。来館者が自身の問題として受けとめた時、言葉にならない重い気持ちになってしまう。そんな思いから、少なくとも「人権について分かりました」といった通り一遍の感想では表現できないような展示を目指しました。たびたび入所者の方々と話す機会がありましたが、皆さんはとても前向きで、いつも「私は私の仕事をしよう」と意を強くしました。そして皆さんはごく普通の人たちで、たまたま病気になっただけ。だから特別視するのではなく、「何でもないこと」として見つめてもらうことで、より展示の意図が伝わるのではないかの思いに至りました。この仕事に関しては、いまも私自身の想いをまとめきれていませんが、得たものは大きいです。
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