静岡市こどもクリエイティブタウンま・あ・る

こどもたちや地域とともにつくるしごと・ものづくり体験の場

こどもたちの手作りのお店が並ぶ『こどもバザール』。子どもたちの飾り付けを引き立てる素材感を生かした空間を展開

『静岡市こどもクリエイティブタウンま・あ・る』は、しごとやものづくりの体験を通じてこどもたちの自主性や創造性を育み、未来の地域産業を担う人材を育てる子ども体験施設です。丹青社は、施設コンセプト企画から、運営計画、デザイン・設計、制作・施工、開館準備、指定管理者としての管理運営までトータルにお手伝いをしています。こどもたちが主体的に活動するしくみづくり、そして地域と連携した事業づくりに取り組んだプロジェクトをご紹介いたします。

事例概要

しごとやものづくりの体験を通じてこどもたちの自主性や創造性を育み、未来の地域産業を担う人材を育てる子ども体験施設です。『こどもバザール』では、こどもたちが店長やスタッフとしてお店づくり、商品開発、販売・サービスなどを体験し、仕事で得たお金（疑似通貨）でバザール内の買い物が楽しめます。わくわくアトリエ、デジタル工房、クッキングスタジオなどで構成される『こどもファクトリー』では、しごとやものづくりに関する多彩なプログラムが体験できます。

課題/テーマ

次世代の創造人の育成を目指し、地域の産業発展に寄与するこども体験施設をつくること。

解決策/実現策

「こどもによる、こどものためのまち」をコンセプトに、「活動」「しくみ」「場」の３つのデザインを展開しました。「活動のデザイン」ではこどもたちが主体的に参加・活動するための運営計画と、商店街や企業と連携する多様な体験プログラムを作成。「しくみのデザイン」では活動が持続的に発展するしくみとして、こどもたちが施設運営に参加する「こども会議」を設けたり、地域とともにつくる事業展開を計画。「場のデザイン」では「活動」「しくみ」が最大限に生きるよう全面改変型の空間に。展示・体験装置が一切ない、でも「何でもできそう！」なワクワクする空間を実現しました。

事業主: 静岡市

業務範囲: 施設コンセプト企画、運営計画、デザイン・設計、制作・施工、開館準備、管理運営（指定管理者）

当社担当者: プロジェクト・マネジメント：吉田清一郎
プランニング：安斎聡子
デザイン・設計：岩崎裕次郎
制作・施工：飯川隆弘
管理運営（指定管理者）：田村和彦

受賞情報: 「第７回キッズデザイン賞」優秀賞（未来を担う消費者デザイン部門）消費者担当大臣賞
「DSA空間デザイン賞2013」優秀賞
「第47回SDA賞」入選、中部地区デザイン賞
自治体総合フェア2020「第12回協働まちづくり表彰」優秀賞

所在地: 静岡県

オープン: 2013年1月20日

ウェブサイト: http://maaru-ct.jp/

空間分野: 文化空間

キーワード: キッズデザイン　地方創生・地域密着　施設運営管理　環境・防災・子ども体験施設　賞受賞

エリア: 中部

こどもによる、こどものためのまち

静岡市様では、「次世代の創造人の育成」を目的に、地域の産業発展に寄与するこども体験施設を構想し、地元商店街や企業との連携や産業・経済に関するこども向け体験展示が必要であるとの思いをお持ちでした。このこどもたちを地域全体の力で育もうという意思・課題に対して、「こどもによる、こどものためのまち」をコンセプトに、こどもたちが主体的に参加・活動するしくみと、地域と連携した事業づくりの提案をしたところ評価をいただき、プロジェクトがスタートしました。

空間デザインについては、こどもたちの主体的な活動と創造性が最大限発揮できるよう全面可変型の空間としました。テーマパークのような再現空間や、科学館のような展示・体験装置が一切なく、こどもたち自身が一から考え、つくり、体験するという過程を楽しむことができるクリエイティブな空間を実現しています。

お仕事をテーマにしたごっこ体験ができる乳幼児のコーナー『ひだまりパーク』

映像ワークショップなどの体験プログラムを楽しめる『デジタル工房』

こどもが主体的に活動するしくみづくり

３階フロアは、こどもたちが店長やスタッフとして、自分たちで考えたお店で商品をつくり、それを売ったり、稼いだお金（疑似通貨）で買い物を楽しんだりしながら、社会や経済のしくみを体験できる「こどものまち」である『こどもバザール』としました。

これを具現化するために、小学４年生から中学生までの『開館準備リーダーズ』約１００人がこども会議を開催し、どんなお店をつくるのか、何をつくって売るのか、来館したこどもたちがどんな仕事をするのかなど、自分たちでアイデアを出し合いながらカタチにしていきました。これらの店舗は開館後も随時こどもたちと改善し、より魅力あるものに変えていく予定です。

『こどもバザール』のお店づくりについてこどもたちがアイデアを出し合うこども会議の様子

地域と連携した体験プログラムづくり

４階フロアは、わくわくアトリエ、デジタル工房、クッキングスタジオ、なんでもホールなどで構成し、こどもたちが様々な講座に参加体験できる『こどもファクトリー』としました。ここでは色々なしごとの話を聞いたり、しごとやものづくり体験ができるプログラムやこどもたちが主体的に参加・活動できるよう多様なコンテンツを企画しています。

これを実現するために、開館準備段階から、静岡市のご担当者とともに地域の商店街や企業・大学などに協力をお願いして回り、開館後は土日を中心に多くの方々に講師として参加いただいています。

「ともに創り、育み、育つ」を目指して

丹青社は、施設のオープン後も指定管理者として『ま・あ・る』の運営に継続的に関わっています。運営事業を通じて地域活性化や人材育成などに直接的に関わることにより、丹青社が目指している「こころを動かす空間」を実現できると考えているためです。また、施設運営を通して得られる事業者や利用者の視点は、空間づくりにおける企画・デザイン・制作の取り組みにもフィードバックして、高品質な空間をトータルに提供することにつなげています。

展示物ではなく事業活動そのものがコアコンテンツとなる『ま・あ・る』において、施設運営は重要な役割を担っています。この場所で育ったこどもたちが将来的に静岡のまちの活力を支えることを目指して、日々の改善を重ねながら、こどもたちや地域と「ともに創り、育み、育つ」運営を今後もおこなっていきます。

撮影：フォワードストローク（上から１～３枚目）