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建材・装飾材の廃番品のみを取り扱うECサイト『フォーアース(4earth)』(以下フォーアース)のサービス開始から2年。掲載メーカーは10社から40社に増え、その注目度の高さがうかがえます。今回は、丹青社の環境配慮サービス『フォーアース』の立ち上げに携わった担当者に話を聞きました。

野本 康仁 (のもと やすひと)(企画開発センター 事業開発統括部 2部 部長)
商業施設のプロジェクトマネジメントを担当したのち、新規事業開発に従事し、業界を超えた協働プロジェクトを推進。メーカーと連携し、建材・装飾材等の廃番品専門ECサイト『フォーアース(4earth)』を立ち上げる。

※PDFでニュースレター(2023/5)を見る

建材選びは最新カタログから。
そんな常識を業界内から変えたい。

【1】廃棄物を減らし、資源を活かす。廃番品専門ECサイト『フォーアース』とは。

『フォーアース』は、技術の進歩やトレンドの移り変わりにより販売中止となった建材、照明器具、装飾材等、各メーカーが抱える“廃番品”の有効活用を促すため、2021年4月にスタートしたECサイトです。

メーカー協力のもと、空間デザインの知見をもって、メーカーが抱える廃番品からセレクト・集約し、再度商流に乗せて、設計会社や施工会社、工務店、一般ユーザーに向けて販売しています。取り扱う商品はすべて新品で、高品質なメーカー品について最大85%オフ(※変動あり)のようなリーズナブルな価格でご購入いただけます。

この取り組みは、廃棄物を減らし、資源を活かす、循環型の社会システムづくりにつながっています。

【2】ディスプレイ業界に関わる課題、“廃番品”に新たな光を。

ディスプレイ業が手がける空間づくりには、その場の価値を上げるための床、壁、天井、照明、家具、装飾等さまざまな建材が欠かせません。それら建材は、各メーカー様が新素材の開発やデザインを創出することで日々変化・進化を遂げています。そのおかげで、さまざまな体験を生み出す空間デザインも発展を続け、今日も魅力的な空間が生まれています。

一方で、ディスプレイ業界の産業廃棄物量の推計は年間およそ57,000tに及びます(2022年当社調べ)。新たな空間をつくるためには、既存施設の建材の撤去がつきものです。既存の建材を活用できることもありますが、その区画の業態が大きく変われば、「廃棄物」の発生は免れません。今まではいわば「廃棄」前提のビジネスモデルのなかで、工事現場から発生する産業廃棄物について、手順を定めて発生の抑制および分別廃棄に努めていました。また、デザイン面では環境配慮設計のひとつとして、使用する材料・製品の選定を含め、設計段階からReduce(リデュース=廃棄物の発生を減らす)、Reuse(リユース=再使⽤、繰り返し使う)、Recycle(リサイクル=再⽣利⽤、再資源化する)の「3R」にも取り組んでいます。ただし、当社一社が手がける範囲では廃棄物削減の効果はどうしても限定的になります。

そこでより広く目を向け「ディスプレイ・インテリア業界」の廃棄物発生を抑制するために着目したのが“廃番品”です。新たな建材が発売されると、生産・販売中止の製品は“廃番品”となり、以降販売機会を失います。新品と同様の状態であるにも関わらず、カタログ落ちすることで、消費者の目に触れなくなり、数年経った廃番品は最終処分として産業廃棄物になることもあります。

建材や装飾材などを取り扱うメーカー各社にヒアリングを重ねたところ、廃番品を抱えることで、倉庫での保管管理、廃棄の経済的コスト負担、廃棄処分によるCO2発生の環境負荷についても懸念されていることがわかりました。“廃番品”の存在は、インテリア関連メーカーおよびディスプレイ業界全体の課題であることが明確になり、手がけるべき新たなソリューションとしてプロジェクト化を進めることにしました。

【3】参画メーカーは2年で4倍に。購買層も拡大中。

まずは丹青社と取引のあるメーカーに働きかけ、2021年4月に10社の参画から開始したのが、廃番品セレクトショップ『フォーアース』です。サービス発表直後から、同様の悩みをもつメーカー様からのお問い合わせが相次ぎ、スタートから2年が過ぎた2023年5月時点で、参画メーカーは40社に至っています。独自で廃番品の販売機会を設けているメーカー様も、フォーアースの趣旨に賛同いただき、また販路を増やすために本取り組みに参画されています。

フォーアースでは“廃番品”という切り口で、メーカーを横断して商品を取り扱っており、化粧フィルムや床材、タイル、壁紙・クロス、照明器具、家具、オフィス家具など幅広いラインナップを揃え、その品目は600点を超えます。販売する廃番品はすべて新品で、照明器具などはメーカー保証も付いています。またフォーアースで取り扱う高品質の建材や装飾材のメーカー正規品は国内に在庫があるので、建材や装飾材の価格が高騰しているなかであっても安心して購入いただけるのも魅力のひとつです。

在庫に限りがあるという廃番品の特性から、当初想定していた購買層は少量を扱う工務店や内装リフォーム会社、DIY志向の一般ユーザーでした。しかし、取り組みが拡がるにつれて、建築会社や大手デベロッパー、賃貸・分譲物件を扱う不動産会社などによる購入事例が増えています。リーズナブルな価格もさることながら、SDGsの取り組みのひとつとして廃番品を選ばれる企業様が多くいらっしゃいます。

また、フォーアースでは、社会貢献活動に取り組むNPO法人などに寄付する仕組みを導入しています。ECサイト上で商品を購入した後、4つのNGO/NPO団体のいずれかを指定すると、売上金の中から団体へ寄付できます。2021年6月から運用しているプログラムで、SDGs17のゴールに向けて、空間づくりに関わる分野以外からも貢献できるよう、さまざまな分野で活動を続けているNPO/NGO団体の活動を支援しています。

【4】空間づくりのプロフェッショナルならではの環境配慮を。

フォーアースのサービス開始以降、環境に配慮した新たな取り組みも進んでいます。丹青社がお手伝いする年間6,000件以上のプロジェクトのうちマッチする事例についてフォーアース商品の提案・導入を進めるほか、空間づくりの過程におけるCO2排出量を見える化しCO2排出削減につながる対策のアドバイスを実施する、参画メーカーとともに環境配慮型のオリジナル商品の企画・開発・販売を検討するなど、いずれも空間づくりの企画・デザイン・制作・運営まで一貫して手がけている当社だからこそ具現化できるものです。

丹青社では事業者様に“廃番品”という新たな選択肢を提示し、SDGsの達成やカーボンニュートラル社会の実現にともに貢献し、豊かな空間創造をつづけるディスプレイ業が持続可能な産業となる一助を目指してまいります。

(YouTube「丹青社公式チャンネル」より)

【参加メーカー様】

井上金庫販売(株)、大光電機(株)、アイカ工業(株)、(株)ウッドワン、(株)エービーシー商会、(株)遠藤照明、オーデリック(株)、(株)オカムラ、(株)川島織物セルコン、河淳(株)、(株)キノシタ、クリヤマジャパン(株)、コイズミ照明(株)、(株)サンゲツ、(株)シモジマ、(株)スミノエ、大建工業(株)、高橋産業(株)、タキロンマテックス(株)、田島ルーフィング(株)、(株)テーオーフローリング、(株)テシード、(株)店研創意、東京鋼鐵工業(株)、(株)東京堂、東リ(株)、名古屋モザイク工業(株)、パナソニック(株)、(株)フッコー、(株)森川製作所、大和屋(株)、(株)ユニオン、リリカラ(株)、リンテックサインシステム(株) 他
※五十音順/敬称略 (2023年5月末時点)

【Case Study】

「雨の木なコーヒー」様
~フォーアースのスポットライトでカフェの雰囲気を明るく~

東京 吉祥寺のスペシャルティコーヒー豆専門店「雨の木なコーヒー」様は、カフェの改装にあたり、安価で内装の雰囲気にあうスポットライトを探している中で、フォーアース掲載の商品を選ばれました。(採用商品:スポットライト/メーカー:遠藤照明/品番:ERS3383W)

●ご購入者様の声
SDGsやカーボンフリー社会を考えて、廃番品の照明器具を選択しました。大手メーカーの商品が、想定の価格よりも安価で、当然、正規品なのでメーカー保証もついて安心して購入できました。光量もしっかりと確保でき、以前よりも明るい店内にすることができました。製品も新品なので、とても綺麗な状態で届きました。
(※フォーアースのウェブサイトより転載)

『フォーアース』のウェブサイトでその他の活用事例をご覧いただけます。

【丹青社サステナビリティアクション】

丹青社サステナビリティアクションロゴマーク

丹青社では「サステナビリティアクション」として、環境・社会・経済における「サステナビリティ(持続可能性)」という観点から開発・提供した、空間づくりに関わるソリューションをまとめています。

※当社におけるSDGsへの取り組みの概要は以下をご覧ください。
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