サステナビリティ視点で丹青社らしさを
新オフィスに表現する『名古屋支店移転プロジェクト』
2024年4月、丹青社名古屋支店は新オフィスにて業務を開始しました。中部エリアを代表するにぎわいの地「栄エリア」の中日ビルに構えた新オフィスは、中期経営計画で掲げている「サステナビリティ対応への基盤整備」の考えに基づき、廃材や再生材を利用した什器や内装をはじめとしたサステナビリティ要素をちりばめています。今回は、環境配慮と社員の柔軟な働き方を両立するオフィスづくりに携わった2人のデザイナーに話を聞きました。

安元 直紀(やすもと なおき)
デザインセンター エクスペリエンススペースデザイン局
ワークスペースデザインユニット デザイングループ グループ長
2009年に丹青社へ入社し、商業施設の設計・デザインなど幅広い案件に携わる。その後、オフィス空間の設計・デザインまで領域を広げ、現在は企業活動全体に寄与するワークプレイスデザインを提案している。

李 娜泳(い なよん)
デザインセンター エクスペリエンススペースデザイン局
ワークスペースデザインユニット デザイングループ デザイナー
2018年に丹青社へ入社。企業ショールームやビジネス空間、文化空間など幅広く分野を担当。幅広い視野でお客さまのニーズに対し積極的に取り入れ、より良い空間を目指す。
【1】多角的な視点でサステナビリティにつながる表現をちりばめる
安元 名古屋支店の新オフィスの設計においては、サステナビリティの観点と同時に、丹青社らしさを表現することに挑戦しました。ただエコな素材を使っているというだけでなく、空間による課題解決を生業とする丹青社の姿をどう見せていくか。2027年1月期までの中期経営計画に「サステナビリティ対応への基盤整備」が追加されたこともあり、サステナビリティと丹青社らしさの両立にはかなり注力しました。
李 丹青社オフィスの世界観を保ちながら、随所にサステナビリティの要素をちりばめていくというのは大きな挑戦だったと思います。エントランスの壁に卵の殻やデニムの廃材から生まれた素材を使用したり、来客用会議室のテーブルの天板はリサイクル素材を用いたり、執務室の床材の一部には丹青社が2021年から始めた廃番品のセレクトショップ『フォーアース(4earth)』で扱う製品を使ったりと、目に触れる部分の多くにサステナビリティにつながる表現を取り入れています。
安元 オフィスにサステナビリティ素材を使用することで、その観点でお客さまとのコミュニケーションが生まれるきっかけをつくることを意識しました。丹青社と社会との接点を考えたときに、インテリアデザインや空間演出だけでなく、サステナビリティという切り口からも、新しい取り組みを伝えあったり、情報やアイディアをかけ合わせる対話が生まれるといいなと。実際、オープン後に支店長から連絡をいただき、オフィスを訪れた方と壁を触って会話をしたという話を聞いて、期待した通りに交流が生まれていると嬉しくなりました。
李 もちろん、執務する丹青社の従業員が働きやすい環境づくりも同時に意識しています。社員同士のコミュニケーションを促す大きなテーブルを配置したり、一人で集中して作業するための席を設けたり、オフィスにいながらON/OFFの気分を変えられるソファ付きのラウンジを窓のそばに作ったりと工夫を凝らしました。生産性とウェルビーイングの両立を、私たち自身がサステナブルな組織であるためにも大切にしています。
安元 今回、各メーカーと一緒に素材の新しい使い方に挑戦できたことは、私たちとしても大きな学びとなりました。ただ素材を選ぶだけでなく、できるだけ新しい使い方を考え、編集する。例えば商談スペースのテーブルの天板に使っている素材は、天板としての使用実績がないものでしたが、あえて挑戦することで新しい可能性が拓けたように思います。今後も新しい素材や技術の商品開発を模索している企業やメーカーとの協働に挑戦したいと思っています。
李 新しい挑戦で得た知見をサステナビリティの観点で空間を提案していくのに役立つような試みもしています。例えば、オンライン会議用のテレフォンブースを執務室に4つ設置していますが、それぞれ違うメーカーのものを導入しています。メーカーごとの特徴や違いを、実際に自ら体験し、検証の上で、お客さまへの提案に活かせるようにしています。また、今回のオフィス移転全体を通してカーボンオフセットにも挑戦しました。日常の中でネットワークを拡げ、変化し続けるサステナブルな取り組みや情報に日常的に接するなかで、最適な情報をアレンジしてデザイン・提案していくよう心がけています。
安元 オフィス空間におけるサステナビリティの考え方は、働き方やコミュニケーションの方法が変化し、人的資本経営や健康経営といった視点が求められる中で、社会全体としてより重要視されていくと感じています。だからこそ、素材をつくるメーカー、新しい技術をもつ企業などさまざまなパートナーと一緒に、お客さまの企業ブランディングや事業活動にプラスになるようなサステナブルなオフィス空間を提案していきたいと強く思っています。
李 サステナブルな要素を取り入れることがゴールではなく、当たり前の考え方にしていきたいと思っています。その上で、そこで働く人のクリエイティビティが向上し、仕事がより楽しく捗るような空間づくりに取り組むことが今後の目標です。国や地域によっても働き方や考え方が異なるので、グローバルなプロジェクトにも積極的にチャレンジしていきたいですね。
安元 私は、オフィスは働く場所であると同時にその企業の未来や姿勢など“企業ブランド”が表現されているメディアでもあると捉えています。企業やそこで働く人の個性がしっかり伝わるようなワークプレイスデザインを心がけていきたいです。今回のプロジェクトを通じて、サステナビリティの観点で素材を選定・編集して表現していくことの大切さや面白さを学べました。この経験を糧に、サステナブルな組織づくり、人づくりを目指す、お客さまのオンリーワンな個性が光り、人が輝けるような空間を提案していきたいです。
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来客用会議室のテーブルの天板にはリサイクル素材を使用。素材としても新しい使い方に挑戦。
名古屋タワーを臨み市内を一望できる“名古屋らしさ”を体感できるオフィス。 多様な働き方に応えるシームレスなゾーニング&フレキシブルなレイアウト。床材の一部に廃番品を使用。
【2】メーカーと共に、素材の新しい使い方に挑戦する
【3】経験をお客さまへの提案に活かしていくために
※記載されている情報は、取材時点のものです。その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。