みらいの空間デザインコンペティション
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結果発表

今回、空間デザインのコンペティションとして、リアル×デジタル空間の融合を意識した新しいテーマを掲げ、公募させていただきました。
主催者である丹青社は「こころを動かす空間をつくりあげるため」に、多種多様な空間づくりにチャレンジしています。
その領域は長きにわたり、リアル空間をベースにしてきましたが、新たにデジタルによる空間が融合し、その境界を曖昧にしながら融合と拡張をし続けています。

応募していただいた作品については、リアルとデジタルのかけ合わせのバランスは様々でしたが、手法を超えた空間体験として強い「FUN」が感じられるか?そしてみらいの空間デザインとしての可能性を感じられるか?という視点で審査を行ないました。
一次審査通過作品についてはリモートでプレゼンテーションを行っていただき、最優秀賞1点と優秀賞2点を決定しました。

受賞作品についてはデザイン手法やその表現手法は全く異なりますが、どれも「FUN」を感じるみらいの空間デザインとしてオリジナリティとクオリティを評価させていただきました。
貴重なお時間を使って作品を提案いただいたことへの感謝に加え、審査の過程において審査メンバーがこのテーマについて深く考え、真剣に議論できたことは、これからの空間デザインをつくる当社としても大変貴重なことであり、応募いただいた皆様に深く感謝申し上げます。

株式会社丹青社 デザインセンター長 高橋久弥


最優秀賞

UNI-VERSE

UNI-VERSE

塩月 卓也、安藤 寿孝

【審査コメント】
自然環境保全をデジタル空間を通して体験し、フィジカルな空間に働きかけていくというシンプルなコンセプトとそれを伝えるビジュアル表現、デジタルでの体験をロングスパンでつないでいく独自性を評価し最優秀賞としました

優秀賞

La Foret online _ 植物でつながるリアルとバーチャル

La Foret online _ 植物でつながるリアルとバーチャル

シルビコットデザイン
(辻村 拓也、中村 優太、辻村 彩加)

【審査コメント】
「植物が好き」という体験を核に、デジタルの世界にその楽しみを拡張してシェアするという課題に対するアプローチの明瞭さと表現の一貫性を優秀賞として評価しました


Small Reading Space - 小さな読書空間

Small Reading Space - 小さな読書空間

陸 曦

【審査コメント】
「本を読む楽しさ」という感情と、メタバースでの読む空間、渋谷というリアルサイトとを結び付ける空間デザインを優秀賞として評価しました

総評

豊田 啓介(東京大学生産技術研究所特任教授、noiz、gluon)

みらいの空間に関するデザインを求めるコンテストということで、特に新しいデジタル技術が、形態の構成や表現のみならず、人やイベントのつながり方や共有の形、多様な変化など、これまでの固定的なデザインから大きく拡張する「デザイン」を可能にしつつある中で、何を新しい可能性でありデザインの対象としての「空間」と捉えるかが本質的な評価の対象となった。多様なアプローチがある中で、まだどうしても実空間(物理的な体験空間)の「写し」としてのデジタル空間、特にその形態的なデザインや表現といったところにポイントが終始してしまう傾向はある中で、受賞作品は何らかの形でその先の、必ずしも目には見えない関係性までをも空間デザインの対象として扱う萌芽が見られた。次元の拡張、場所性や身体性の発展的喪失など、これまでの常識から積極的に外れた領域での価値創出を志向しつつ、それがいかにあらためて「空間」のデザインを更新し得るのか、第二回以降ではその可能性の展開に期待したい。

秋葉 哲也(アートディレクター、アシュラスコープインスタレーション CEO)

現実空間と仮想空間の提案・映像資料必須となかなかハードルの高いお題と条件にどんな作品に出会えるかワクワクしながら審査させてもらいました。
空間とコンテンツを繋げた、新しい体験価値をデザインすることは、今までとは違うデザインアプローチと広範囲の知識が必要となりますが、テクノロジーに対する知識不足によるあまさが目立つものや新規性にかけるものが多かった気がします。
この分野には新しい可能性やチャンスが広がっていると思います。空間の可能性を引き出すデザイナーの台頭を期待して、これからの空間の在り方を考えるキッカケになるこのコンペが続き、多くのデザイナーがチャレンジしてくれることを願っています。

鈴木 朗裕(チーフプロデューサー 株式会社丹青社 CMIセンター)

今回の応募作品の多くは、空間デザインそのものに加えて、空間での体験が一つのコミュニケーションとしてデザインされ、またそのコミュニケーションは物理空間だけにとどまらず、情報空間での体験も踏まえたデザインが多く見受けられ、物理空間と情報空間をシームレスにとらえた空間デザインのアプローチが、既に当たり前になったのだと感じさせられました。今回の審査を通じて、このアプローチには幅広く多様な視点が存在し、まだまだ多くのイノベーションが空間から生まれてくる、そんな可能性を感じたコンテストになりました。

山下 純(クリエイティブディレクター 株式会社丹青社 デザインセンター)

FUNというテーマのもと、空間のかたちも多種多様、従来の概念には留まらない空間コミュニケーションの姿は、まさに「みらい」にふさわしい新しい空間のあり方を提示されたようでした。空間デザイナー、建築家だけではなく、エンジニア、プロダクトデザイナー、教育や医療関係者まで、多角的な視点によって、みらいの空間づくりの可能性は拡がっていきます。リアルか、バーチャルか、どちらかに傾倒するのではなく融合するのか、それぞれの領域すらも自由に越境する皆様の発想から、空間デザインにも「多様性」の時代が到来する可能性を感じることができました。