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お知らせ

『ミュージアム利用動向2024』を発表しました

2024.12.26

丹青社は、運営する日本最大級のミュージアム情報サイト『アイエム』が行った『ミュージアム利用動向2024』を2024年12月20日(金)に発表しました。

※今回調査対象となるミュージアムは、博物館、美術館、科学館、動物園、水族館、植物園など、「知識の体系」があり展示手法が「学ぶ」ことを主体にしている施設のことを指します。

調査の目的

昨今の海外輸送費や資材・物価の高騰などもあり、ミュージアムも変化を余儀なくされています。海外から多くの作品を借りてくる大型の展覧会が目立たなくなる一方で、所蔵品を中心に国内の作品で構成する展覧会が増えたように感じられます。
また、高精細映像を用いて来館者に没入体験を味わってもらうイマーシブ型の展覧会が相次いで開催されるなど、新しいスタイルの展覧会も定着しつつあります。
来館者に目を向けると、訪日外国人観光客の増加を受け、外国人から注目を集めるミュージアムがある一方で、経営的に苦しい環境に立たされているミュージアムも散見されます。
それらのミュージアムを取り巻く要因も意識しながら、国内のミュージアム・ファンによるミュージアムの利用動向を総合的に調査する事で、今後のミュージアム業界への一助となる事を目指しました。

調査結果サマリ

ミュージアムに行く前にネットで調べる人は93.9%と、行動前に情報収集するのは当たり前に。ただ動機は年代によって異なり、若い世代は「視覚的にとらえ効率性を重視」、年代が高い層は「学びや理解の深化」が主な目的。ミュージアムの訪問動機としてネット動画も重要に。

※すべての調査結果は下記からご覧いただけます。
 調査結果ページ:https://www.museum.or.jp/static/museumfanresearch2024

1)ミュージアム訪問前のネットでの情報収集について

・興味をもった展覧会やミュージアムの内容を、行く前にネットで詳しく調べますか?

・同、年代別

・同、ミュージアムに行く頻度別

【解説】
・興味を持った展覧会やミュージアムについて、訪問前にネットで調べるかを尋ねたところ、「必ず調べる」と回答した人は63.4%、「たまに調べる」と回答した人は30.5%であった。これにより、93.9%がミュージアム訪問前に何らかの形でネットで情報を確認していることが判明した。
・年代別や訪問頻度別に分析しても、若干の差異は見られるものの、「必ず調べる」と「たまに調べる」を合わせた割合はすべてのグループで90%以上を記録している。若年層から高年齢層、さらにはヘビーユーザーからビギナーまで、あらゆる層において「ネット検索からミュージアム訪問」の流れが常態化していることが明らかである。

2)ミュージアムを訪問する前にネットで調べる理由

・ネットで詳しく調べる理由は何ですか?(全体)

・同、年代別

【解説】
若い世代は「視覚的に展示のイメージがわかりやすいから」「自分の興味がある内容か事前に判断したいから」という動機が多い。タイパ(タイムパフォーマンス)を意識する姿勢が強く、効率性を重視し視覚的にとらえる傾向が強いためと思われる。
年代が高い層は「作家や作品などを事前に調べておくと、展覧会をより深く楽しめるから」「展覧会名やチラシだけでは、展覧会の内容がわかりにくいから」という動機が多い。単なる娯楽ではなく文化的な楽しみや学びの場として深く楽しむために、事前に調べてミュージアムをより深く楽しんでいる。
・ネットで情報を調べる動機は年代ごとに異なるので、ミュージアム側はターゲットに応じた情報提供を工夫することが必要。

3)ネット上の動画視聴とミュージアム訪問の関連性について

・ネット上の動画を見て、展覧会やミュージアムに行こうと思ったことがありますか?(全体)

・同、年代別

【解説】
・ネット上の動画が起点となりミュージアムに行こうと思ったか聞くと「ある」と回答した人は全体で58.4%と過半数を占め、ネット動画がミュージアム訪問のきっかけとなっていることは明らか。
・年代別で見ても、50代と60代では「ある」と回答した割合がそれぞれ62.39%、61.73%と高い。ネット上の動画視聴が日常的になっている若い世代だけでなく、高い年代層にもネット動画がミュージアム訪問に影響を与えていることが分かる。

【全体解説】
今年は注目を集めた大型展覧会がいくつか開催され、美術館の前に長い行列ができる光景が見られるなど、多くの人々がミュージアムに大きな期待を寄せていることを改めて実感する一年でした。一方で、入場料や図録の価格が上昇しているため、以前のように気軽に訪れるレジャーとしての側面は薄れてきているのも事実です。そうしたこともあり、来館者はネットで事前に調べ、ある程度の情報を得た上でミュージアムに足を運ぶ動きが強まっているのかもしれません。ミュージアム側も訪問者のニーズを的確に把握し、より効果的な情報発信を行う必要があるといえるでしょう。

古川幹夫ポートレート

■ 解説者:古川幹夫(アイエム編集長/丹青社 事業開発センター)
1966年愛媛県生まれ。1990年株式会社丹青社入社。本社デザインセンター、(株)JDNなどで空間デザイン、オウンドメディアの立ち上げ・運用等に従事。2011年より現職。年間約200カ所のミュージアム取材を継続中。
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<調査概要>
調査期間:2024/11/27~2024/12/10
調査対象:アイエム会員
有効回答数:1056名
調査方法:インターネット調査

<引用・転載時のクレジット記載のお願い>
本リリース内容の転載にあたりましては、『アイエム』の表記をお使いいただきますようお願いいたします。

アイエムロゴ

■ 『アイエム』とは
アイエムはインターネットミュージアム(INTERNET MUSEUM)の頭文字である「I」と「M」から名付けられた日本最大級のミュージアム情報サイトで、「Life with Museum(ミュージアムのある暮らし)」をコンセプトに運営しています。ミュージアムの施設情報や企画展・イベントなどの情報をご紹介しているほか、独自の取材レポート、学芸員の募集情報、展覧会のチケットプレゼントなど多彩なコンテンツで、全国のミュージアムファンにご利用いただいています。また、ミュージアムの広報支援として、各種プロモーションや調査なども幅広く承っています。

アイエムhttps://www.museum.or.jp/


ニュースリリース


※お知らせおよびニュースリリースに掲載された内容は発表日現在のものです。
 その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。
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