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【創造ノオト No.05】佐藤 拓人 「最前線で走り続けるスーパーマンになりたい」

インタビュー

丹青社創業80周年を記念した特別シリーズ企画「創造ノオト」。過去から現在までの回顧録ではなく、20年後の100周年に向けた自由な構想を一人ひとりが語ることで、丹青社が生み出していく未来を共有する企画です。その構想は、ノートの片隅に書いた個人的なメモのようなもの。けれど時に、そのメモが社会を変えるアイデアのタネになるかもしれません。20年後の未来に向けて、社員は何を思い、何を企てているのか。第5回は、CMIセンター演出技術部で、空間におけるさまざまな演出を技術面から支える佐藤拓人の「創造ノオト」を覗いてみます。

SPEAKER

佐藤 拓人株式会社丹青社 CMIセンター 空間メディアプロデュース統括部 演出技術部 1課/課長
2014年に丹青社に入社。文化空間事業部の制作職としてミュージアムを中心とした空間づくりに携わる。その後、CMIセンター 演出技術部へ異動。現在は、映像・音響・照明などを組み合わせ、空間演出を実現するためのシステム設計やコーディネート、ディレクションを担当している。

最前線で走り続けるスーパーマンになりたい

20年後の丹青社創業100周年を見据えた特別企画ということで、未来から逆算してお聞きしたいと思います。2046年に、どんなことを実現していたいですか?

2046年には57歳で、赤いちゃんちゃんこを着る3年前です。その頃には十分ベテランになっていると思いますが、それでも、空間や体験をつくる最前線にいたいと思っています。僕にとっての最前線は、実現したいものを前にして「どうすればできるだろう」と悩み、試行錯誤しながら、でき上がる空間や体験に直接関わっていることです。かたちになっていく過程から離れず、つくる側であり続けることが僕にとっての現役なのだと思います。ただ、20年後もその場所にいるためには、長く仕事を続けているだけでは足りません。年齢や経験を重ねるほど、「自分がそこにいるから何が変わるのか」が、今以上に問われるようになると思います。佐藤が関わったから実現できた。佐藤がいたから、体験がもう一段面白くなった。そうした、自分だからこそ生み出せる違いを持っていたいんです。

そこで思い浮かんだのが、「スーパーマン」という存在です。僕の思い描くスーパーマンは、何でも知っていて、難しい相談を解決できる人。「これを実現したいけれど、どうすればいいか分からない」「いろいろな人に聞いたけれど、どうにもならなかった」。そんなときに佐藤へ聞いてみようと思ってもらえる人になりたいです。誰にでも解決できることではなく、僕だからこそ解決できることで頼ってほしい。最後の切り札のような存在に憧れています。そのためには、知識や経験を蓄え、目の前の課題に合わせて組み合わせる力が必要です。同時に、「この人なら受け止めてくれそうだ」「一緒に考えてくれそうだ」と思ってもらえる人柄も欠かせません。どれだけ知識があっても、無愛想で話しかけにくい人には相談しづらいですよね。頼りやすさまで含めて、スーパーマンに必要な素養なのだと思います。

そしてもう一つ重要なのが、専門性を深めながらもそれに縛られないことです。知識や経験が増えるほど「こういう課題にはこの方法」という型が身についていきます。それは仕事を確実に進めるために大切ですが、前例のないものをつくる際には、「実績がないから難しい」と判断するストッパーにもなり得ます。だからこそ、専門的な考え方を土台にしながら、過去の経験を生かす部分と、あえて冒険する部分を見極め、今までにない方法を探していきたいです。

デジタル・アナログ、ソフト・ハードの垣根を超えていきたい

そうした創業100周年に向けた構想を実現するために、それまでの歩みの中でどんなことをしていきたいですか?

デジタルとアナログ、ソフトとハードの垣根を超えていきたいです。少し前までは、空間にデジタル技術を取り入れること自体に新しさがありましたが、今ではデジタルを使うことは当たり前になっています。一周した今だからこそ、デジタルとアナログをどう組み合わせ、その掛け合わせによってどのような体験をつくるかが重要になっていると思います。ソフトとハードについても同じです。演出技術部は、映像・音響・照明などのハードウェアやシステムを設計し、プランナーやデザイナーが考えた演出を技術的に実現する部署です。ただ、ソフトもハードも、それ自体が目的ではありません。空間を訪れた人にどのような体験を届けたいのか、何を感じてもらいたいのか。そのコンセプトや目的を実現するための手段だと思っています。だからこそ、技術を考える側も、何をつくるのかだけでなく、なぜそれをつくるのかという一つ上のレイヤーまで理解しておく必要があります。そこまで理解できて初めて、プランナーやデザイナーが生み出したアイデアを、より良いかたちで実現できるのだと思います。

僕たちの仕事は、何もないところから「0」を「1」にするというより、その「1」を「5」や「10」にしていく仕事です。どこまで大きくできるかは、自分が持っている引き出しの数によって変わります。システムやハードウェアの知識だけでなく、ソフトやコンセプトに対する理解も引き出しとして持つことで、お客さまの思いにより応えられるようになります。以前携わったプロジェクトでも、プランナーやデザイナーとコンセプトを共有し、どのような体験にするかという段階から一緒に考えました。技術的な実現方法に加えて、見せ方や体験の流れについても意見を交わしたことで、ハードの範囲に閉じず、目的から体験全体をつくっていくことができた仕事だったと思います。もちろん、僕自身がプランナーやデザイナーになるわけではありません。丹青社には、それぞれの領域に優秀なプレーヤーがいます。その人たちが考えていることを深く理解した上で、技術の立場から実現できることの幅を広げ、より良い見せ方を提案する。そうした関わり方を増やしていきたいです。5年から10年後には、ソフトとハードの境界は今よりもシームレスになり、デジタルとアナログ、さらにはCMIセンターと他の部署の境界も曖昧になっているかもしれません。それぞれが専門性を持ちながら、体験という一つ上の視点から総合的に提案できるようになれば、それが丹青社の強みになっていくと思います。

自分だけではなく、垣根を越えていく部署として進化していきたい

丹青社が創業100周年を迎える2046年、それに向かうまでの構想をお聞きしました。さらに直近で取り組みたいことはありますか?

デジタルとアナログ、ソフトとハードの垣根を超えていくという姿勢を、自分一人のものにせず、演出技術部の中にも少しずつ広げていきたいです。それぞれが自分の専門性を持ちながら、担当領域の外側にも目を向け、体験全体を考えられるようになれば、組織として提案できることも、実現できることも増えていくと思います。さまざまな領域に強みを持つプロフェッショナルがいて、難しい相談が持ち込まれたときには、それぞれの知識や個性を持ち寄って応えられる。そんな組織になっていけばいいなと思っています。

ただ、全員が僕と同じ「スーパーマン」を目指す必要はありません。僕にとっての理想がスーパーマンであるように、一人ひとりに、それぞれがなりたいプロフェッショナルの姿があるはずです。僕と一緒に働く中で得たものだけでなく、他の人と仕事をする中で感じたことや学んだことも組み合わせながら、その人なりのプロフェッショナル像をつくっていってほしいです。そうした自分なりの理想像に近づくためのヒントは、マニュアルを読んで見つけるものではなく、実際の仕事を一緒に進める中で発見していくものだと思います。難しい課題に対して、周囲の人がどのように考え、判断し、お客さまや社内のメンバーと向き合っているのか。そうした姿を間近で見て、共感する部分や自分には合わない部分も含めて受け取りながら、自分のスタイルをつくっていく。僕自身も、これまで一緒に働いてきた人たちの姿から多くのことを学び、自分なりの仕事への向き合い方を見つけてきました。だからこそ僕も、言葉だけで考え方を伝えるのではなく、日々の仕事の中で自分の姿勢を見せていきたいです。

難しい相談を受けたときにどう向き合うのか、すぐにできないと判断せずにどこまで考え抜くのか、他の人のアイデアをどう受け止めるのか。一緒に仕事をする中で、そうした姿から何かを感じ取り、それぞれが理想とするプロフェッショナルへ近づくヒントにしてもらえたらと思います。

「NO」を言わない

それでは最後に。100周年に向けた構想を実現するために、まずは今日から始めたい、創造の第一歩を教えてください。

今日の午後の打ち合わせから、「NO」を言わないことです。誰かが面白いアイデアを持ってきてくれたときに、技術的な難しさや過去の実績を理由に、「できません」と返すのは簡単です。でも、せっかく生まれたアイデアを、実現する側の僕たちが最初に止めてしまうのは格好良くないと思っています。

もちろん、どんな要望にも「できます」と答えるという意味ではありません。難しい理由はきちんと伝えた上で、条件を変えればできるのか、別の技術を使えば近づけられるのか、そもそも違う方法のほうが面白くなるのかを考える。「できません」で会話を終わらせず、「こうすればできるかもしれません」「こちらの方法なら、もっと良くなると思います」と、次の選択肢を返していきたいです。

僕たちに相談が来る時点で、相手の中にはすでに「こんなものをつくりたい」という思いがあります。その思いを技術の側から削っていくのではなく、どうすれば形にできるのかを一緒に考える。すぐに正解が出なくても、まず受け止めて、考え続ける姿勢を示すことが大切だと思います。冒頭でお話ししたように、20年後も最前線で活躍できる存在であるために。まずは今日、次の可能性をひらく言葉を返すことから始めます。

本日はありがとうございました!

創業 100 周年に向けた佐藤 拓人の創造ノオト

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