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【創造ノオト No.08】池部 大陽「制作職≒名脇役。その意識を持った仲間を増やしていけたら」

インタビュー

丹青社創業80周年を記念した特別シリーズ企画「創造ノオト」。過去から現在までの回顧録ではなく、20年後の100周年に向けた自由な構想を一人ひとりが語ることで、丹青社が生み出していく未来を共有する企画です。その構想は、ノートの片隅に書いた個人的なメモのようなもの。けれど時に、そのメモが社会を変えるアイデアのタネになるかもしれません。20年後の未来に向けて、社員は何を思い、何を企てているのか。第8回は、制作職として商業施設やホテルの空間づくりに携わってきた池部大陽の「創造ノオト」を覗いてみます。

SPEAKER

池部 大陽株式会社丹青社 エクスペリエンススペース事業部 第2制作統括部 制作3部 2課 課長
2009年に新卒入社し、一貫して制作職に従事。物販店や飲食店などの商業空間を経験し、入社5年目頃からはホテルを中心に、オフィスなどの空間づくりにも携わる。現場で品質・工程・予算の管理を担い、2025年に課長に就任。現在は課員の仕事と成長を支えることに力を注いでいる。

制作職≒名脇役。その意識を持った仲間を増やしていけたら

20年後の丹青社創業100周年を見据えた特別企画ということで、未来から逆算してお聞きしたいと思います。2046年に、どんなことを実現していたいですか?

僕は以前から、制作職とは「名脇役」だと考えてきたのですが、20年後を想像したときに、その考えに共感する仲間が増えていてくれたら嬉しいなと思いました。映画やドラマでは、主役がどれほど魅力的でも、その周りにいる人たちがいなければ作品は成り立ちません。印象に残る脇役がいると、主役も引き立ち、作品全体がさらに面白くなる。僕にとって制作職とはそうした脇役としての役割を持った存在なんです。もう少し分かりやすく丹青社の仕事に置き換えて説明すると、まず営業がお客さまの思いを聞き、設計がそれを図面やパースに描きます。お客さまはそれを見て、完成する空間を思い浮かべる。僕は、その時点で仕事の「100」ができていると思っています。では制作職は何をするのかというと、その期待を現場できちんと形にしたうえで、さらに「20」を加えていく人。細部までこだわって仕上げ、お客さまとも丁寧に向き合うことで「いい空間ができて良かった。またこのチームに頼みたい」と思っていただく。それが、僕の考える名脇役としての制作職なんです。

だからこそ、営業と設計にはまず100をつくり切ってほしいとも思っています。そこが80なら、制作が20を加えても100にしかなりません。ただし、社内で誰かが上に立つという話ではなく、三職種が対等に意見を交わしてそれぞれの力を出し切ることが大切です。制作はプロジェクトに後から加わることが多いのですが、最近は着手前に3職種揃ってキックオフを行うようになりました。お客さまの思いや設計の意図を制作も共有し、同じゴールに向かって仕事をする。その積み重ねが、100を120にしていくのだと思います。

自分の考えを若手に伝え、名脇役として動ける人を増やす

そうした創業100周年に向けた構想を実現するために、それまでの歩みの中でどんなことをしていきたいですか?

先に挙げたような「制作職≒名脇役」という考えを周囲に広め、名脇役として活躍できる人を増やしたいと考えています。とはいえ、話を聞くだけで名脇役になれるわけではありません。工程や品質、予算を管理し、設計が描いたものを形にする力を身につけたうえで、周りの人たちとどう関わるか。その両方を現場で経験しながら覚えていく必要があります。制僕は若い頃、数カ月ごとに違う現場へ行っていたため、現場ごとにさまざまなお客さまや職人さんと出会いました。そうした多様な人と関わるうえで大切にしていたのが、向き合う相手を名前で呼ぶことです。「塗装屋さん」「クロス屋さん」と職種で呼ぶのではなく、一人ひとりの名前を覚えて話す。僕自身、「監督さん」より「池部さん」と呼んでもらえるほうが嬉しかったですし、やがて「池ちゃん」と呼ばれるようになると、関係が近づいたと感じました。別の現場で数年ぶりに会っても、そこから自然に話が始まります。入社3年目には仕事がうまくいかず悩むこともありましたが、現場で出会う人たちとの縁があったからこそここまで続けることができたし、もっと名脇役として成長したいと思うことができました。

一方で、今の若手が経験を積む環境は当時とは異なります。一つのプロジェクトに1年、2年と携わることが増え、短い間にいくつもの現場を経験する機会は少なくなりました。同じプロジェクトの中で複数の工事やオープンに立ち会えても、関わる人たちは大きく変わらないことがあります。時代が変わったから仕方ないとするのではなく、同じ現場にいても新しい仕事を任せたり、ほかの職種や関係者と接する機会をつくったりして経験の幅を広げてあげたいです。僕と同じやり方でなくても、それぞれの個性を生かして自分なりの「20」を加えられるようになれば、名脇役の幅も広がっていくはずです。もちろん、制作職全員に名脇役を目指してほしいわけではありません。ものづくりを担う自分たちこそが主役だと考える人がいてもいい。選択肢の一つとして、僕と同じように「名脇役でありたい」と思う仲間も増えていったら嬉しいですね。

若手の声を受け止め、育成の仕組みを現場に根づかせたい

丹青社が創業100周年を迎える2046年、それに向かうまでの構想をお聞きしました。さらに直近で取り組みたいことはありますか?

若手が名脇役として活躍できる環境にしていくためにも、社員同士の情報共有や若手の育成に向けた取り組みを現場にきちんと根づかせていきたいです。今は四半期ごとに課員との1on1があり、毎週の課会でもそれぞれの仕事の状況を共有しています。こうして定期的に話せる場ができたことを僕はいい変化だと思っていますが、集まって話すだけでは、次第に形式だけのものになってしまいかねない。課員が日々の仕事で感じた疑問や改善案を聞き、次の動きにつなげるところまで続けたいと考えています。

例えば、課会で若手から仕組みについての質問が上がれば、人事や経理など、内容に応じた部署に僕から伝えるようにしています。僕自身、プレイヤーだった頃は意見を出しても返事がなく、もどかしさを感じたことがあったためです。課長として以前より声を届けられる立場になったからこそ、課員には同じ思いをさせたくありません。課員の意見に対して返ってきた回答は課会で共有し、その後どう進んでいるかも伝える。若手や現場の声を必要なところへ届け、仕事のしやすさや育成の仕組みを少しずつよくしていきたいです。声を上げたことが次の動きにつながれば、課員もまた気づいたことを話しやすくなるはず。会社が用意した場を、現場からの改善が生まれる場として根づかせたいですね。

次の打ち合わせで、ひと笑いを

それでは最後に。100周年に向けた構想を実現するために、まずは今日から始めたい、創造の第一歩を教えてください。

僕は「笑門来福」という言葉が好きなんです。若い頃には、誰かが怒り出してもおかしくないほど空気の重い打ち合わせを経験したこともありました。しかし、予算や工期が決められているとしても「いいものをつくりたい」という思いは全員に共通しているはずです。だったら、少し笑える瞬間があったほうがいい。そう考えて、普段から一回の打ち合わせでひと笑いを生むよう心がけています。

もちろん、場違いなときに冗談を言うわけではありません。相手やその場の空気を見ながら言葉を選ぶには、現場の状況を理解し、工程や予算についてもきちんと話せることが大前提です。制作職としてやるべきことを当たり前にやったうえで、打ち合わせに少しスパイスを加える。それもまた、僕なりの名脇役としての振る舞いの一つなのかもしれません。この後にも打ち合わせがあるので、まずはそこで、ひと笑いを生めたらと思います。

本日はありがとうございました!

創業 100 周年に向けた池部 大陽の創造ノオト

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