津守 克佳(右)札幌グランドホテル 宿泊支配人
普段は宿泊支配人としてオペレーションを担当。本プロジェクトではリーダーとして全体推進を担う。
石立 隼人(左)札幌グランドホテル 札幌パークホテル セールス&マーケティング統括・副支配人・PH営業推進課長
セールスおよびマーケティング推進を担い、札幌パークホテルも兼務。本プロジェクトでは主に広報を担当。
石井 康祐(中央)株式会社丹青社 エクスペリエンススペースデザイン局 ホテルデザインユニット1グループ グループ長・クリエイティブエキスパート
これまでさまざまなホテルの空間設計を手がけ、本プロジェクトではデザイン統括に携わる。
田中 和範(中左)株式会社丹青社 札幌支店 営業部 部長
商業分野を中心に多様な空間づくりに従事。本プロジェクト全体の工期や予算管理を担当。
渡邊 宏太(中右)株式会社丹青社 札幌支店 営業部 営業課
本プロジェクトで初めてホテル分野に挑み、田中とともにプロジェクトの進行を補佐。
まずは札幌グランドホテルについて教えてください。
津守
当ホテルは、北海道初の本格的洋式ホテルとして1934年に開業しました。1954年の昭和天皇・皇后両陛下ご来館をはじめ、国内外のVIPなお客さまをおもてなししてきた歴史があります。そしてもちろん、札幌のランドマークとして、道内の方々にも親しみを持っていただけていると思います。
石立
このタイミングでリニューアルしたのは、2034年の開業100周年をどのようなかたちで迎えるべきかを考えるためです。本館のリニューアルは約40年ぶりで、老朽化している設備もあったため、表層的な改装ではなく、あらためて「札幌グランドホテルらしさ」を表現していきたいという想いがありました。また、札幌エリアに外資系のホテルが次々と進出している中でどのように戦っていくかという視点も意識していましたね。
石井
今回のリニューアルでは、本館全148室のフルリノベーションに加え、東館の一部客室のリニューアル、エレベーターホールやクラブラウンジの改装も担当させていただきました。水回りなどの設備も刷新しています。

どのような点にこだわってリニューアルしていったのでしょうか?
石井
やはり札幌という土地で90年以上営業してきた格式のあるホテルなので、ほかのホテルにはない「札幌グランドホテルらしさ」を表現することは強く意識しました。「北海道らしい、地域に根付いたデザインにしていきたい」というご要望もいただいていたので、一過性の流行ではない、時代を超えて愛されるデザインにしていきたいと考えました。
田中
札幌グランドホテルは、札幌の人間なら誰でも知っている存在です。その「らしさ」を最大限に活かすことは、プロジェクトを推進する中でも意識していましたね。工期と予算は決まっているので、さまざまな取捨選択をしなければなりませんが、譲れない部分と柔軟に対応していく部分を議論しながら進めていきました。
石井
多様な人が関わるプロジェクトなので、ブレない指針が必要だと考え提案したのが「Neo Traditional」というコンセプトです。北海道初の本格的洋式ホテルとして時を重ねてきた歴史と品格を、開業100周年から先の未来に向かって受け継いでいけるように、デザインに落とし込んでいきました。特に、「Neo Traditional」の質感を表現するための素材選定にはかなりこだわりましたね。
津守
壁紙やモールディングなど、細かい部分の質感も突き詰めて検討しましたよね。私たちとしての希望はお伝えしつつ、さまざまなご提案をいただいて……細部にわたるこだわりからハードルの高い要求をしてしまう場面もありましたが、密にコミュニケーションをとって、常に前向きに検討いただいて助かりました。

「札幌グランドホテルらしさ」をデザインに落とし込む上で、特に意識したポイントはありますか?
石井
札幌グランドホテルのシンボルであり、ロゴマークにも使用されている「八稜星」を各所に散りばめたことです。カーペットやクッションのステッチ、客室に飾るアートにも八稜星を使用しています。また、歴史のあるホテルでファンの方も多いので、リニューアル前の雰囲気を残しながら新しく見えるようなバランスも意識しました。
津守
初見の印象からして、「丹青社さんにお願いしてよかった!」と思いました。正直に申し上げれば、選定当初はコスト面について社内で慎重な意見もありました。しかし、社内でアンケートをとったら圧倒的に丹青社さんのデザインが好評で。私たちとしてもデザインはとても重要視していましたし、結果的にとても満足できるデザインに仕上げていただき、感謝しています。
石井
ありがとうございます。デザイナー冥利に尽きます。
石立
設計面でも、客室のライティングデスクを取り払ったりオープンクローゼットを導入したりしたことで居住性が高まったと感じます。実際に宿泊いただいたお客さまからも「前よりも広く感じる」とご好評をいただいています。
渡邉
私は本プロジェクトで初めてホテルのリニューアルに携わらせていただいたのですが、客室はかなり時間を掛けて検証を繰り返したので、そうした声をいただけているのは素直に嬉しいですね。部屋全体の照度からヘッドボードの大きさやコンセントの位置まで、細部にわたり現場検証を重ねたことは自身にとっても大きな学びになりました。
津守
客室の使い勝手が向上したことで、女性やファミリー層、グループで複数部屋に宿泊される方など、これまで以上に多様なお客さまに向けて宿泊プランをご提案できるようになりました。

それでは最後に、それぞれの目線から今後の展望を教えてください。
石井
実は、約20年前私が初めてホテルの設計に携わったのが、この札幌グランドホテルのリニューアルプロジェクトでした。当時も多くのことを学ばせていただきましたが、縁あって今回またリニューアルプロジェクトに携わらせていただき、感慨深い想いとともに、自分のデザインの幅が更に大きく広がったと感じています。この経験をぜひほかのプロジェクトでも活かしていきたいです。
田中
厳しいスケジュールのなか、多岐にわたる範囲のリニューアルをおこなうにあたり、さまざまな関係者との調整が不可欠でした。このプロジェクトに携わらせていただいたことで、コミュニケーションの大切さをあらためて実感しました。これからもお客さまの「伴走者」として、それぞれの想いに寄り添う提案をしていきたいです。
渡邉
神奈川県出身の私にとって、本プロジェクトで「北海道らしさ」とじっくり向き合えたことはとてもいい経験になりました。空間づくりに携わる上で、その地域の個性や想いを紐解いていくことの大切さを実感したので、今後も知ろうとする姿勢を常に持ち続けたいと思います。
津守
今回の経験を通じて、細やかなこだわりを積み重ねていくことの大切さを学びました。こだわりは想いがなければ生まれませんし、想いがあるからこそ「語れるホテル」になる。100周年を最高の形で迎えられるよう、リニューアルに込めた思いをしっかりと受け継いでいきたいです。
石立
津守も私も、根っからの「グランドっ子」です。札幌グランドホテルが大好き。だからこそ、お客さまに胸を張って紹介できるリニューアルができたことは、素直にとても嬉しく思っています。これからも愛され続ける場所であるよう、津守と一緒にこのホテルを盛り上げていきたいです。
本日はありがとうございました!
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