丹青社の
今を伝える
ウェブメディア

丹青ノオト

生まれ育った故郷で、施設づくりを通じて平和への想いを紡ぐ。「エディオンピースウイング広島」プロジェクト

インタビュー

2024年2月、サンフレッチェ広島のホームスタジアムとして「エディオンピースウイング広島」がオープンしました。丹青社は、スタジアム内の多機能施設「サッカーミュージアム」と「スタジアムショップ」の企画・設計・施工を担当。本記事では、地元出身メンバーとして同施設に携わったプランナーの森保が、プロジェクトへの思いを語ります。

SPEAKER

森保 友貴株式会社丹青社
デザインセンター プランニング局 プランナー
2020年に丹青社へプランナーとして入社。「エディオンピースウイング広島」のプロジェクトでは、自身のキャリアにおいて初めてオープンを経験。地元出身だからこその目線で、ミュージアムの体験設計などに携わる。サンフレッチェ広島のマスコットキャラクター・サンチェのファン。

まずはプロジェクトに参画した経緯を教えてください。

私が「エディオンピースウイング広島」に携わることになったのは2020年頃。丹青社の入社後研修を終えて間もなくでした。まだ右も左もわからない時期でしたが、「広島出身だしやってみない?」と声をかけていただいたのがきっかけです。
声をかけてくれた当時の上司がサッカー好きで、私がサッカー日本代表の森保一監督と同じ苗字というのも大きかったと思います(笑)。入社してから初めて完成まで携わった物件だったので、すごく思い入れのある仕事です。

プロジェクトはどのように進んでいったのでしょうか?

提案当初から軸としてブレないようにしていたのは、サッカーファンの方はもちろん、そうでない方も含めて大人も子供もみんなが楽しめる施設にしようという方向性です。また、サンフレッチェ広島だけの施設ではなく、広島サッカーの歴史を伝える施設にしていこうという指針もありました。
お客さまであるサンフレッチェ広島の担当者の方とも同じ想いを共有していましたね。具体的には、ボールを使って楽しめる体験コンテンツを盛り込んだり、広島のまちなかスタジアムとして平和への想いを発信する展示を取り入れたりしました。

スタジアム全景:平和の翼をイメージされた、スタジアムの構造としては珍しい大型の張弦梁(画像提供:大成建設株式会社)

森保さん自身はどのような領域を担当しましたか?

プランナーとして、主にサンフレッチェ広島の展示コーナーを担当しました。どんな情報をどんな順番でどのように展示すれば楽しんでいただけるかを考え、展示内容を企画・編集する役割です。当時はまだ新人だったので、先輩方にサポートしていただきながらチームでつくり上げていきました。

このプロジェクトを通じて、自分の仕事のことを家族や友人に話しやすくなりましたね。業界外の方にとって、丹青社のプランナーの仕事ってわかりにくいじゃないですか(笑)。
でも、今は両親や地元の友達に「エディオンピースウイング広島のここをやったんだよ」と言える。完成後に両親を連れて行くこともできて、すごくありがたい機会になったなと思います。

展示エリア:広島におけるサッカー文化の発展と、サンフレッチェ広島のクラブの歩みを紹介する

チーム唯一の広島出身ということで、プロジェクトにおける役割は意識しましたか?

施設ができる場所がもともとどんなエリアだったのかとか、コンテンツのネーミングについて広島らしいものは何かなど、地元じゃないと体感的にわからないような意見を発信することは心がけていました。

その上で、やっぱり「地元に貢献したい」という想いは少なからずあったと思います。広島の小中学校では、原子爆弾が投下された8月6日には必ず平和学習の時間を設けるんです。私自身も、被爆された方から聞いた話を鮮明に覚えています。だからこそ、平和への想いをきちんと後世に語り継いでいくためには、過去の暗い歴史の話だけでなく、未来に向けた明るいメッセージが大切だと考えていて。
エディオンピースウイング広島のように、具現化されたモノで平和への想いを残していきたいという潜在意識はあったと思いますね。広島は私にとって唯一の故郷で、いつまで経っても大切な場所だと思っているので、この仕事に携われたことはとても幸運でした。

施設の見どころはどこでしょうか?

見どころだらけの施設ですが、強いて言うのであればシュート・ドリブル・パスそれぞれのスコアを、サンフレッチェ広島のレジェンドプレイヤー達と競い合えるサッカーアカデミー体験エリアです。自身の記録を残せるようになっているので、訪れるたびに楽しんでいただけるかと思います。
お子さんだけでなく大人も思いきり挑戦できるコンテンツなので、ぜひ体験してみてほしいですね。また、当施設は建築家の丹下健三氏がかつて描いた「広島平和公園計画」の軸線上にあり、そういった側面からも平和へのメッセージを取り入れていることも特徴のひとつかと思います。

サッカーミュージアム 体験エリアでは「パス」「シュート」「ドリブル」の種目でクラブを代表するレジェンド選手との対戦ができる

−今後、広島のプロジェクトにどのように携わっていきたいですか?

私も含めて、広島県民は地元愛が強い方が多いと思います。本当にいい街だと思っているからこそ、これからも賑わいのある広島であり続けられるように、さまざまな目線から貢献していきたいです。特定の関係者だけじゃなく、たくさんの人が訪れ、楽しめる開かれた街であってほしい。だからこそ、施設をつくって終わりではなく、一緒に盛り上げていけるような関わり方をしていきたいです。

丹青社のメンバーとこけら落とし試合を観戦。サポーターとスタジアムの一体感をリアルで体験

最後に、広島のおすすめポイントを教えてください!

広島を訪れた際には、お好み焼きは必ず食べてほしいですね。広島市には「お好み村」という施設があり、なんとビル内のテナントすべてがお好み焼き屋さんなんです!商業施設の空間づくりにも携わる立場からすると、とても尖ったリーシングだなと感動します(笑)。
これは余談ですが、上京して一番驚いたのが「広島風お好み焼き」という言葉。広島に住んでいる頃は、いわゆる「広島風」が当然スタンダードなお好み焼きだと思っていたので、びっくりしました(笑)。

−本日はありがとうございました!

紹介した施設

施設名:エディオンピースウィング広島

事業主:㈱サンフレッチェ広島(サッカーミュージアム、スタジアムショップ)、広島市(スタジアム、VIPラウンジ)

業務範囲: 
【サッカーミュージアム】
各種調査、施設コンセプト企画、展示企画、デザイン・設計、制作・施工、プロジェクトマネジメント:㈱丹青社

【スタジアムショップ】
各種調査、施設コンセプト企画、MD企画、デザイン・設計、制作・施工、プロジェクトマネジメント:㈱丹青社

【スタジアム】
デザイン・設計、制作・施工:大成・フジタ・広成・東畑・EDI・復建・あい・シーケィ共同企業体

【VIPラウンジ】
内装デザイン協力:㈱丹青社

オープン:2024年2月

ウェブサイト:https://hiroshima-stadiumpark.jp/peacewing/

実績紹介ページ:https://www.tanseisha.co.jp/works/detail/edion-peace-wing-hiroshima

この記事をシェア

関連記事を見る