
佐藤 知美 株式会社丹青社
経営企画センター ウェルビーイング推進部部長
2000年に丹青社入社。制作職としてキャリアをスタートし、商業施設やイベントブースの制作に携わる。
出産を機に現場を離れ、戦略企画業務を担当するようになる。
第二子出産後、キャリアアップを目指して一級建築士の資格取得に挑戦し、仕事や子育ての合間を縫って2011年に合格。
現在は2025年に新設された、ウェルビーイング推進部の部長を務める。
ものづくりに興味を持つきっかけとなったレゴ®をこよなく愛し、現在も子どもと共にコレクションを続けている。
ウェルビーイング推進部とは、どういった部署なのでしょうか?
社員が働きやすく、働きがいをもてる環境づくりを担う部署で、3つの課で構成されています。
「労務管理課」では社員の勤怠や労務に関するしくみやシステムを運用し働く基盤を整え、「秘書課」では経営層が意思決定に専念できるよう支援、そして「健康管理課」では社員の心と体の健康を支援し、健康増進に貢献しています。これまでは、働き方改革の中でも長時間労働の是正に重点を置いて取り組んできました。
この度のウェルビーイング推進部の新設に伴い、働きやすい環境整備に加えて、働きがいを高めて社員の「働く幸せ」を追求することも目指しています。
丹青社における「働く幸せ」とは?
心身の健康と、安全・安心を土台に、仕事に打ち込み、やりがいを実感できることです。
昨年策定したバリューの1つに「仕事を楽しむ」を掲げている通り、丹青社には一つひとつの仕事を楽しみながら真剣に取り組む社員が多く在籍しています。
良いものを生み出そうという強いこだわりを持ち、納得がいくまで何度も検討を重ねることでお客さまの期待に応え、さまざまな空間をつくりあげてきました。
一方で、仕事に熱中する社員に長時間労働が発生し、健康への配慮がおろそかになってしまうこともありました。
社員一人ひとりが創造性を最大限発揮するためには、社員の心身の健康が欠かせない。
その考えのもと、残業時間を減らして余白をつくり、社員一人ひとりが「働く幸せ」を実感できる環境づくりを進めています。
ウェルビーイング推進部の発足時に、まず取り組んだことは?

ウェルビーイング推進部員は現場経験のあるメンバーが少ないです。
バックオフィスと現場では1日のスケジュールや働き方が大きく異なります。そのため、残業が増える原因や、現場で働く社員の各種申請や書類提出などが遅れる理由に共感できないこともあったようです。
社員一人ひとりのウェルビーイングを追求する部署として、 現場を知っているからこそできる提案に価値があると考え、メンバーに現場見学へ行ってもらいました。
実際に現場を見て初めて気づけたことも多かったようで、理解が深まったと好評でした。私もかつては現場で働いていたので、空間づくりの現場への理解が進み、嬉しく感じています。
現場見学をきっかけに、メンバーが現場社員への依頼方法や声がけのタイミングを工夫するようになり、業務が以前よりスムーズに 進むようになったと実感しています。
現時点で、重点的に取り組んでいることを教えてください。
丹青社は、仕事に対するやりがいと健康面への配慮を両立しながら働くための制度が充実しています。しかし、その多くが社員に認知されておらず、せっかくの制度があまり活用されていない。
例えば、体調不良などで働けなくなった場合に活用できる保険制度があるのですが、私自身も現場で働いていた当時はそんな制度があることを知りませんでした。
ウェルビーイング推進部として、ひとつひとつの制度や取り組みをポジティブに捉えてもらえるよう、それらを「見える化」する必要性を感じ、社内デザイナーと協力して【ウェルビーイングロゴ】を作成しました。
ロゴは、ウェルビーイングに欠かせない「身体的」「精神的」「社会的」の3つの要素を表現した円が重なり合い、バランスを取りながら影響し合う姿を表現しています。
さらに、丹青社グループのパーパス「空間から未来を描き、人と社会に丹青(いろどり)を。」のVIカラーを用いることで、会社全体の理念ともつながるデザインにしました。

【ウェルビーイングロゴ】ロゴ左上には、発信情報に合わせたメッセージも
ウェルビーイング推進部からの告知や取り組みの発信にはこのロゴを添え、「働く幸せ」を 追求するための活動であることがひと目で伝わるようにしています。
単に文書を配布するだけでなく、意図を正しく伝え、行動につなげられるよう、見せ方や表現も工夫をしています。
今後の展望を教えてください。

女性社員も増え、結婚や出産などライフステージの変化の中で働き方に対する不安を感じる社員も少なくないと聞きます。
しかし、丹青社には入社時の職種やポジションにとらわれず、これまでの経験を活かせる活躍の機会がたくさんあります。そして実際に活躍している女性社員が多くいます。
まずは知ってもらい、気づきや考えるきっかけをつかんでもらうことが重要と考え、さまざまな社内セミナーやイベントを実施しています。
たとえば、女性先輩社員のこれまでのキャリアを紹介するセミナーや、「丹青つなぐプロジェクト」と称し、制作職として働く 女性社員同士の交流の場をつくり、悩みや考えを共有し、働きやすい環境づくりについて意見を交わすイベントを実施しています。
最近では、制作職以外の女性社員からも開催を希望する声が寄せられており、今後の開催を検討しているところです。
8月には、「働く幸せ」「サステナビリティ」を向上させる取り組みの一環として、新たに 「丹青社グループ ウェルビーイング経営方針」を策定しました。
今後も多様な切り口から社員やその家族のウェルビーイングを向上させ、一人ひとりの彩りある豊かな人生に寄与する経営を目指していきます。
−本日はありがとうございました!
