宮古市 津波遺構 たろう観光ホテル
展示演出の技術を応用し、被災時の姿を最大限保存した震災遺構
復興庁震災遺構第一号として、被災時の姿を保存し、未来に活かすことを目指す
事例概要
東日本大震災で津波被害を受けた旧「たろう観光ホテル」が、震災遺構として保存整備工事を施され、一般公開されました。6階建てのホテルは4階まで浸水し、むき出しの鉄骨が津波の脅威を伝えています。6階には、当日同じ場所から撮影された津波来襲時の映像を見るスペースが設けられており、宮古観光文化交流協会の「学ぶ防災」ツアーに参加することで、館内を見学できます。
課題/テーマ
被災し、破損した建築物が、東日本大震災の被害と復興の記憶を語り継ぐための「シンボル」、そして、防災・減災につなげる「市民共有の財産」となるよう、被災時の姿を最大限保存し、活用できるようにすること。
解決策/実現策
未来に伝えること、活用の際の安全確保を第一に、主要構造部は全て安全な状態に復旧し、関連法令にも適合させました。その一方で、被災時の損壊した姿が失われないよう、鉄骨には現状のまま保存できる塗装技術を採用し、破損した壁面パネルには樹脂コーティングとエージング加工を施すなど、展示演出の技術を応用しました。こうした手法により、津波の威力や被害の大きさを実感できる震災遺構の整備を可能にしました。
- 事業主
- 宮古市
- 業務範囲
- 各種調査、施設コンセプト企画、デザイン・設計、制作・施工
- 当社担当者
- プロデュース:吉田清一郎
ディレクション:㈱丹青研究所 小林宜文
プロジェクトマネジメント:越前小太郎
企画:安斎聡子
デザイン・設計:㈱丹青研究所 井上大輔
制作・施工:林正己、井上佳之
- 受賞情報
- 「DSA日本空間デザイン賞 2016」 協会特別賞 復興支援賞、BEST50、企画・研究賞 入選
「第35回ディスプレイ産業賞(2016)」 ディスプレイ産業奨励賞
- 所在地
- 岩手県
- オープン
- 2016年4月
撮影:PR45
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