震災遺構(宮城県気仙沼向洋⾼校旧校舎)
被災時の姿を残し、津波の威力や災害の大きさを後世に伝える
南校舎4階ベランダには津波で流されてきた冷凍工場が激突した跡が残る。衝突の痕跡を示すコンクリート片残骸は、長く形を留め、落下させないために、展示造作で製作し、実物を忠実に再現している
事例概要
水産の名門校である宮城県気仙沼向洋高校は東日本大震災で津波の被害を受けたため、新校舎に移転。校舎4階まで津波が押し寄せましたが、生徒や教職員は避難して全員命を取り留めることができました。旧校舎は、将来にわたり震災の記憶と教訓を伝え、警鐘を鳴らし続ける「目に見える証」として、「気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館」で被災時の姿を残したまま公開されました。
課題/テーマ
「震災遺構」として、津波の威力や災害の大きさを後世に伝え、今後の防災・減災に資する施設にするとともに、来館者の安全性を確保した見学環境を整えること。
解決策/実現策
丹青研究所の「守る」「活かす」「伝える」総合力を生かし、校舎の保存整備と周辺の環境整備を実施しました。校舎内に残る瓦礫類(漂流物)は「震災遺構」としての意義のもと、津波被害の影響を色濃く残すものとして、危険物や腐朽の可能性があるもの以外は、そのまま保全することで整備設計を進めました。南校舎の内部公開に当たっては、来館者の安全確保に最大限留意するとともに、エレベーターを新たに設置してバリアフリーに配慮した見学環境を整備しました。
- 事業主
- 気仙沼市
- 業務範囲
- 調査、保存設計、保存整備工事監理
- 当社担当者
- プロジェクトマネジメント:越前小太郎
保全設計:丹青研究所 小林宜文、井上大輔
保存整備工事監理:渡部学、林正巳、三澤彰生、丹青研究所 小林宜文、井上大輔
- 所在地
- 宮城県
- オープン
- 2019年3月
撮影:気仙沼市提供
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