陸前高田市立博物館
被災後修復された資料を“ふるさとのたから”として未来に継承する拠点施設
「モノには物語があり物語には人々のココロがある。モノと一緒にココロを守り伝える」と未来への約束を掲げた陸前高田市立博物館
事例概要
東日本大震災で甚大な被害を受けた「旧市立博物館」と「海と貝のミュージアム」を中心市街地に合築し、新たに陸前高田市立博物館として整備しました。延べ56万点の収蔵資料のうち、約46万点を回収。70を超える全国の専門機関・博物館の支援を受けての安定化処理・修復作業は、開館した現在もなお続いています。歴史と文化の拠点のみならず、多くの市民や観光客の交流の場となることを目指した施設です。
課題/テーマ
二つの博物館を違和感なく魅力的に一つの観覧動線として融合すること。
修復資料それぞれに適した手法を用い、新たに展示を通して蘇らせ、後世にしっかり伝えていく施設として機能させること。
解決策/実現策
施設コンセプトを「未来への約束」とし、“ふるさとのたから”を未来へと語り継いでいくための手立てを検討しました。展示室は貝をモチーフにした一枚のおおらかな壁と、ガイドラインを定めたカラーリングによって空間を緩やかに分節しながら歴史のストーリーを構成。各コーナーは資料に備わる特徴を汲み取りながら、新たな息吹となるようダイナミックな手法で展示し、コーナーごとにテーマのメッセージを体感的に受け取っていただける空間を目指しました。
環境配慮設計
文化財保存設計:被災後に修復された資料をしっかり後世に伝える展示ケースを設計。公開承認施設の認定を見据えた計画として整備しました。
- 事業主
- 陸前高田市
- 業務範囲
- 施設コンセプト企画、展示企画、デザイン・設計、制作・施工、プロジェクトマネジメント
- 当社担当者
- プランニングディレクション:松丸裕之
デザインディレクション:田中利岳
プランニング:増田彩乃
デザイン・設計:橋本旬平、林紗奈美
収蔵設計:(株)丹青研究所 一ノ瀬裕行、青島彩
制作・施工:樋口智哉
模型・造形:榛澤吉輝、中井弘志、吉田康寛
プロジェクトマネジメント:越前小太郎、佐藤順治
- 受賞情報
- 「日本空間デザイン賞2023」KUKAN OF THE YEAR RUNNER-UP(準グランプリ)/博物館・文化空間部門 金賞
「第42回ディスプレイ産業賞(2023)」ディスプレイ産業優秀賞(経済産業省大臣官房商務・サービス審議官賞)
「第57回日本サインデザイン賞」入選
「2023年度グッドデザイン賞」
「iF DESIGN AWARD 2023」
「Red Dot Award 2024」Brands & Communication Design 部門 Best of the Best
- 所在地
- 岩手県
- オープン
- 2022年11月
写真:株式会社 ナカサアンドパートナーズ 河野政人 動画:株式会社 GoodFeeling
デザインディレクション
田中利岳
デザインディレクション
田中利岳
ミュージアムを中心に、子ども関連施設や防災・震災関連施設など、多岐にわたる施設を手がける。各施設のテーマを空間デザインへと繋げる文脈を確立し、メッセージ性とアクティビティが広がる場へ仕立てることに強く力を注ぐ。「何度でも訪れたくなる施設づくり」をモットーに、全国を行脚中。
デザイン・設計
橋本旬平
デザイン・設計
橋本旬平
地域に向き合い、文化的文脈を掘り起こすことで、空間デザインの意味と価値を高めることに注力している。主に博物館や資料館等を手がける。
デザイン・設計
林紗奈美
デザイン・設計
林紗奈美
地域の文化や歴史に触れ、さまざまな手法を模索しながら、その魅力を引き出す展示空間を創ることに喜びを感じている。ママデザイナーとして奮闘しながら、子どもの視点も意識した設計を行っている。
※実績紹介に記載されている情報は、掲載時点のものです。その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。